安全性の高い銘柄を見つけるためのチェック項目として、次は「総資本回転率」について検討しましょう。
総資本とは、貸借対照表の負債合計と資本合計の和をいいます。 会社を経営するには資金が必要ですが、その資金は株主から集めた資金(自己資本)と借入等によるものとがあります。それらの総和が総資本です。
その会社のある期の年間売上高を総資本で割ったものを、総資本回転率といいます。 総資本を元手としてその何倍の売上高を達成したかという数字で、これにより経営の元手がどれだけ有効に利用されたかがわかります。
総資本回転率を算出するための元データは貸借対照表に記載されているので、決算が発表されれば総資本回転率はすぐに計算できます。また、会社四季報などにも大体のデータが記載されているので、決算時に発表された貸借対照表がなくても、総資本回転率は算出できます。
新日鉄の2006年3月期を例にとると、会社四季報の記載では年間売上高は3,906,000百万円でした(一億円以下は切り捨て)。一方、この期の総資本(会社四季報では総資産と記されています)は4,542,000百万円だったので、
総資本回転率 = 3,906,000/4,542,000 = 0.86
となります。資本金の大きい大型株としては、この総資本回転率は非常によい数字です。新日鉄の場合には、この2年ほどの好況でかなり総資本回転率が大きくなり、この数字を達成できたのです。
同じ超大型株に属する東京電力では、3月期の総資本回転率は0.39でした。普通の会社では、資本金が大きい場合でも総資本回転率が0.5を割ると危険領域であるとされます。公共性のつよい東京電力は、倒産の危険性がないので、総資本回転率が低くても別に問題ないわけです。
商社など流通業界では、一般に総資本回転率は製造業より大きくなります。総合商社三井物産の3月期では、総資本回転率は1.74でした。
次に製造業の小型株を調べましょう。スイッチング電源の大手デンセイ・ラムダは資本金29億円の小型株ですが、この3月期の総資本回転率は0.99でした。一般に小型株の総資本回転率は大型株よりも大きくなる傾向があります。
このように、総資本回転率は業種により、あるいは資本金の大きさにより大きく変動するものです。 したがって一概にはいえませんが、
- 大型株では 0.6
- 小型株では 0.7
- 商社では 0.8
ぐらいをめどとし、それ以上の総資本回転率があれば一応合格と考えることができましょう。
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