前のページで作家石田さんの投資方法を検証しましたが、今度はその方法を新日鉄株のPBRに注目して調べてみましょう。
新日鉄は、成熟産業のイメージの強い製鉄業の超大型株ですので、株価は概して低位で100円〜500円がらみで推移しているのが普通です。それに対応して、新日鉄の一株当たり純資産は業績がまずまずの時期は150円くらい、業績が悪い時期は110円がらみとなるのが多いようです。
これらのデータは、最近8年くらいまでのものは新日鉄のホームページにPDFファイルとして掲載されているので、詳細はそちらをご覧ください。
前のページで新日鉄株の株価が150円割れとなった時期の一株当たり純資産を調べたところ、次のようになりました。
- 1998年1月 安値146円 一株当たり純資産150円
- 2001年9月 安値145円 一株当たり純資産143円
- 2002年11月 安値119円 一株当たり純資産128円
- 2003年4月 安値127円 一株当たり純資産138円
上表から、この時期の新日鉄株ではその期の一株当たり純資産あたりが目先の底値となったのがわかります。
したがって、新日鉄株に投資を行う際は、業績が悪い時期に株価が下落してその期の一株当たり純資産より10パーセント高い値段になったら、すなわちPBRが1.1となったのを目安としてその株価以下を買い下がるという方式が考えられます。
作家石田さんは、前記のように、新日鉄株が150円以下になったら買いを行うという投資法で成功したそうです。石田さんがどういう理由でこのような方法をとったのかは知りませんが、上記のように結果としてPBRの面からもその方法は合理的であったといえそうです。 |
前のページでは、PBRを目安として新日鉄株の底値圏を見つける方法を解説しました。では、そのような底値圏というのは新日鉄の業績がどのような時期なのでしょうか。下図の新日鉄の10年間のチャートでもっとも株価が低かった
- 2002年11月 安値119円 一株当たり純資産128円
の時期について調べましょう。
上のチャートからわかるように、この時期は1999年から始まった3年以上にわたる下げ相場の最後にあたります。深刻な不況のために、2002年3月期の新日鉄の売り上げは、前年同期比で6.1パーセントの減収となりました。純利益は大幅な赤字となり、一株あたりでは−4.2円となりました。
もちろん配当も難しい状態でしたが、会社は内部留保を取り崩してかろうじて年1.5円の配当を行いました。来期の見通しも暗く、会社は来期もなんとか年1.5円の配当を継続できるよう努力するというコメントを発表しました。 |
天下の新日鉄のことですからもちろん倒産の恐れはありませんが、このような業績見通しの下で、年1.5円の配当を継続できるかどうかという会社の株は当然ながら人気がありません。株式市場全体もどん底状態だったので、新日鉄株の119円という安値もまたやむを得なかったのです。
しかしここで、当面の業績悪には目をつぶり、新日鉄の大きな市場シェア、優秀な技術などからくる底力がやがてまた業績の回復をもたらすであろうと信じて新日鉄株を購入した投資家は、わずか1年あまりで100パーセント以上の値上がり益を手中にできたわけです。
逆にいうと、当面の業績が非常に悪いからこそ新日鉄株は本来の株価水準以下にまで売り込まれたのであって、底値圏では決算数字などには目をつぶり、PBRなどをたよりにして冷静に安値をひろうのが肝要といえましょう。
|
|
|
|