前ページに述べた今回の新日鉄株の相場を例にとって、プロ投資家など熟練した投資家の手法をまとめてみましょう。
- 前の相場で高値圏で手仕舞いし、現金化する。
これが、すべての前提となります。前の相場で、相場がなお上げている途中で利食うか、あるいは前の相場が崩れて下げ始めたところで売るかのいずれかで、持ち株を現金化するのが肝要です。
これにより、次の相場に底値圏で出動することができるのです。
- その後、相場が冷えて下げ切るまで待つ。
これも大変大事なことです。株式相場は、上昇3年、下落3年という動きをすることが多いものです。大きな上げ相場のあとは、少なくとも3年は再上昇は期待できません。 1985年〜1990年のバブルの時期は空前の大上昇相場でしたが、その後は結局10年以上にわたる下落相場となり、日経ダウ平均株価は7000円台にまで落ち込みました。
長い下げ相場の途中、ときどき上昇基調になることがありますが、それらは一時的な反発と心得て、深入りしないように気をつけましょう。
- PBRを目安として、底値買いを行う。
純資産の章で解説したように、相場の底値圏では相場の雰囲気、企業の決算数字があまりにも悪いので、それらを見ていては底値買いをする気になれません。
そこで、最近10年間の月足をみて、安値圏での純資産からその銘柄のPBRを算出します。底値圏のPBRは銘柄によって違うので、その銘柄の前の安値時のPBRを目安とするのがよいでしょう。
その銘柄の株価が下落し、PBRがその目安に近づいたあたりから、何回かに分けて買い下がりをします。
- 底値買いをした銘柄を持続し、情勢の変化を見守る。
このように安値圏で株を購入したら、じっくりとしばらく持続することです。買値を割れてしまってもあわてる必要はありません。できるだけ配当利回りのよい株を買い、1、2年は銀行預金にしたつもりで持続してください。上昇まで4〜5年かかることもあります。
その間、株式市場全体の情勢変化、その銘柄の属する業界の景気動向を見守りましょう。その会社から送られてくる決算資料にはちゃんと目を通し、一株当たり純資産の数字の変化、自己資本比率の変化などをチェックしてください。
- 上昇基調に転じたら、買い乗せをする。
このように持続していると、たいていの場合はまた景気が回復し、相場全体が少しづつ底堅くなってきます。買った銘柄が時流にあったものであれば、いずれその銘柄が注目されて上げ基調になります。
ある銘柄が大きく上げる際は、底値圏でそれまでの4〜5年にはなかったような大出来高が発生し、株価も大きく上げて数年来の高値をつけます。 このときは、まだ株価上昇の背景、理由はそれほど明らかにはなっておらず、その期の決算数字も悪いので、大多数の投資家には理由もなしに株価が反発したように見えます。実は、その銘柄の業界筋、会社筋などが買い始め、それに気がついたプロ投資家がちょうちんをつけたのです。
そのような大出来高が見つかったら、とりあえずその後の安値をひろいながら、その業界の最近の情勢を研究しましょう。
- 大出来高を伴って高値を更新したら、買い増しをする。
前記のように、その銘柄が上昇基調に入ったら、その基調は3年くらい続くのが普通です。わずかばかりの値上がりによろこんで利食ってしまうことのないようにしましょう。底値から2倍に値上がりしたら買い出動というやり方で好成績を残している投資家も、たくさんいるということです。
大出来高を伴って高値を更新した場合、株価が底値から2.5倍以内くらいだったら、相場はなお先があると判断し、その後の安値を買い増すのがよいでしょう。
- 記録的な大出来高で株価が飛び始めたら、売りあがる。
その銘柄の相場が最後の段階にさしかかると、好決算の数字が続々と発表され、新聞などもその記事を盛んに掲載します。また、証券会社の営業もその銘柄に力を入れ、投資家に盛んにPRします。
投資家も安心して大量に買いを入れるので、その銘柄の株価が沸騰し始めます。その銘柄が上場されて以来有数の信じられないくらいの大出来高が、連日できる状態となります。
今回の新日鉄の相場では、2005年9月の相場がこれにあたります。株価は330円くらいから始まり、月中に457円の高値をつけました。 457円というと、底値119円の4倍近くになります。これより上もあるように思われますが、経験則からいうと、このような大型株の相場としてはそろそろ天井圏に近いかとも思われます。 投資資金の効率を重視するプロ投資家の多くが、この辺からそろそろ持ち株を利食いはじめたのではないかと思われます。
ややスタンスの長い投資家も、このあたりで持ち株を担保にして新日鉄株を信用売りした(売りつなぎ)向きが多いと思われます。その後、新日鉄株が大きく値下がりしたら、信用売りした分を買い返済しようというわけです。
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