今回の新日鉄株の上昇相場は、2002年11月の大底119円から2006年3月の高値479円まで、期間は3年あまり、上昇率は4倍あまりとなりました(2006年7月の時点でなお上昇は継続中かもしれませんが、一応2006年3月の高値479円で区切りとします)。
この大相場を、年金資産などの機関投資家、あるいは大口個人などのプロ投資家はどのように売買したでしょうか。 |
まず、長期投資スタンスの投資家は、2002年11月に新日鉄株が一株当たり純資産(直近の決算では128円)に近づいたのを見て、安値を拾い始めたと思います。当時の新日鉄の最終利益は赤字となると予想されていましたが、新日鉄が業績不振になるのを何回も見てきたプロ投資家なら、いずれ新日鉄は回復するであろうと判断したことでしょう。
そのようにして底値で買った新日鉄株を保有していると、半年もしたころ、アジア圏からの鉄鋼の商談が盛んに舞い込み始めたというニュースを聞くようになりました。 |
そして2003年10月ごろ、新日鉄株はここ10年ほど見たこともないような出来高を伴って上昇を開始し、3年来の高値に躍り出ました。プロ投資家なら、これを見て新日鉄株の基調が変わったのをさとったはずです。 その後、2003年前半は新日鉄株は200円を少し越えたあたりで下値が次第に切りあがる動きとなりましたが、出来高は相当な水準を維持していました。機関投資家が新日鉄株を盛んに買ったのだろうと思われます。
2005年2月には新日鉄株は大出来高を伴って急騰し、月間の上昇率は14パーセントを越えました。これを見てプロ投資家は、新日鉄株が本格的な上昇相場に入ったと判断したことでしょう。 このころ、新日鉄株の決算数字は期を追ってよくなり、新聞紙上でも新日鉄の業績好調が伝えられるようになりました。その後3ヶ月ほどは新日鉄株は反落しましたが、このあたりの出来高も非常に多く、機関投資家、プロ投資家が安値を盛んにひろった様子がうかがえます。 |
そして、2005年8月には、新日鉄株はそれまでの大出来高の倍以上の記録的な大出来高のもと急騰を開始し、300円を越えました。作家石田さんの投資法では利食いゾーンに入ったことになりますが、短期をとるプロ投資家は、ここで飛び乗った向きが多かったと思われます。
その翌月9月には、新日鉄株の高騰はさらに加速し、高値457円をつけるにいたりました。その後も新日鉄株の大商いは続きましたが、株価のほうは次第に頭打ちとなり、2006年5月以降は全体安につれて新日鉄株も反落に転じました。
新日鉄株の業績は、2004年以降も期を追って向上し、2005年9月期、2006年3月期の一株当たり純資産はそれぞれ216円、252円に達しました。最低であった2003年3月期の118円と比較すると、倍以上になったわけです。
また、配当は、2002年3月期にはやっとのことで年1.5円配をしましたが、2006年3月期には年9円配をゆうゆうと支払いました。 |
このような業績を見ると、新日鉄株はまだまだ値上がりするのではないかと感じます。証券会社の営業などは、そのような観測をして、投資家にアッピールしているようです。 しかし、これはまったくわからないところです。アメリカでは、原油高の影響が浸透しつつあり、またこれまで景気を引っ張ってきた住宅投資が完全に頭打ちになってしまいました。すでに、これらの影響はインドなどアジア株の相場を直撃しています。日本の景気も、いずれ何らかの影響がでるのではないかといわれています。
そのような景気の観測とは別に、相場の経験則から新日鉄株の先行きを不安視する向きもいます。大体、大相場は上昇開始以来3年が一つのめどになるのが多いのです。 バブルの最後の時期にやはり新日鉄株の大相場がありました。そのときは、新日鉄株は120円あたりの安値から900円を越えるまでに8倍近く値上がりしましたが、そのときもやはり3年ほどの期間のことでした。今回は上昇期間が3年あまり、上昇率が4倍あまりですが、さて、これから先の見とおしはどうでしょうか。
資金効率を重視するプロ投資家は、すでに十分儲けた新日鉄株を売却した向きが多いと思われます。売却はしない投資家でも、信用取引で売りつなぎをしている人はたくさんいるでしょう。
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