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  テクニカル分析の方針
 前ページまでに株価の長期変動の原理を解説しましたが、このページでは、さまざまな統計的データ処理を利用して具体的な売買タイミングを見つける方法を説明します。銘柄は、やはり新日鉄株を例にとります。

今回のテクニカル分析に当たっては、私どもは以下の各要件がおおむね満たされるように留意しました。
  • 長期的な株価の方向を判別すること

    各銘柄の値動きは、たとえば5年ぐらいにわたって上昇したのちに今度は5年ぐらいにわたって下落するというように、長期のトレンドがあるのが普通です。

    そのような長期の株価変動の間に1〜2年ぐらいの比較的短期の株価変動がしばしば起こりますが、それらはなるべく無視して長期の株価変動につくのが、株式投資で利益をあげるコツです。

    長期相場のテクニカル分析では、如何にして短期の株価変動と長期の株価変動とを見分けるかがもっとも重要なポイントになります。

  • 株価の天井圏、底値圏を検出すること

    たとえば株価が4、5年も上昇した場合には、株式を購入する投資家層の拡大により各取引所の出来高が非常に大きくなり、株価が高騰することがよくあります。

    そのような過熱状態は、経験的にそれほどは長く続かずやがて株価が崩落する恐れがあります。そこで、株価の天井圏を統計的データ処理で検出し、その後株価下落の兆候が見えたらいちはやく持ち株売却のサインを出します。

    逆に株価が4、5年も下落した場合には、株価の底値圏を検出し、その後株価上昇の兆候が見えたらいちはやく株購入のサインを出します。
上述のテクニカル分析の方針に基づいてコンピュータ・プログラムを作成し、新日鉄株の23年間の株価データを用いて売買シミュレーションを行いました。その結果を下図のチャートに示します。
下図のチャートの上半分は新日鉄株の月足チャートですが、その時期の株価・出来高から算出された株式指標M1線(青線)、M12線(オレンジ色の線)も同時に表示しています。

新日鉄株の長期月足

  株価分析チャート

 上図のチャートの下半分は、前記株式指標M1線、M12線などの値から導かれた株式指数Lレシオ(赤線)とその移動平均線(青線)を表示しています。

基本的にLレシオ(赤線)が100ポイント超が株価が上昇基調と判断された領域、100ポイントより下が株価が下落基調と判断された領域です。

また、株価安値圏でLレシオ(赤線)が上昇して90ポイント以下の領域でLレシオ移動平均線(青線)を超えた場合には、短期的に株価が反発する可能性があります。
また、株価高値圏でLレシオ(赤線)が下落して110ポイント以上の領域でLレシオ移動平均線(青線)を割り込んだ場合には、短期的に株価が下落する可能性があります。

実際には、これら株式指数を元にさまざまな統計的データ処理を行って、その銘柄の長期相場における売買タイミングを決定します。そのようにして得られた売買タイミングを、上図の株価チャート、分析チャートの背景色として示しています。

チャートの背景色がピンクの時期は、本研究により新日鉄株の株価が上昇傾向と判断された領域です。一方、チャートの背景色が薄青の時期は、本研究により新日鉄株の株価が下落傾向と判断された領域です。

実際の運用に当たっては、チャートの背景色が薄青からピンクに変化した月の翌月寄付きに新日鉄株を買い、逆にチャートの背景色がピンクから薄青に変化した月の翌月寄付きに新日鉄株を信用売りすることになります。

  売買シミュレーションの考察

 それでは、今回の新日鉄株の長期売買シミュレーションによって株価の長期変動の各ステージがどのように検出されたかを簡単に考察しましょう。
  • 23年間に7回の売買反転

    私どもの方式では、売買シミュレーションの期間23年の間に7回の売買反転を行いました。従って、買い転換または売り転換を検出すると、平均して3.3年間はそのスタンスを維持したことになります。
    やはり、株価の変動にはかなり長期間継続するトレンドがあるのがわかります。

  • 2年未満の売買ではほとんどが損になる

    上図チャートでは売買反転の間隔が2年ぐらい以下だった部分が2ヶ所ありますが、それらはいずれも結果としてほとんど利益が出ないかあるいは損になっています。高く買って安く売るか、安く売って高く買い戻すかになってしまったのです。

    逆に、売買反転の間隔が3年以上だった部分では、結果としてみなかなりの売買利益が得られています。売買反転を検出して売買を始めてから2年を超えてその相場が継続したら、がんばってその売買を継続したほうがよいといえるでしょう。

  • 株価天井圏での売り

    上図チャートの左端、バブル期の最後1989年では、新日鉄株が1000円近い史上最高値から崩落する時期にチャートの背景色がピンクから薄青に変化し、天井圏での売り転換を指示しています。

    また上図チャートの右端、2003年から始まった大相場の最後2007年でも、新日鉄株がやはり1000円近い高値から崩落する時期にチャートの背景色がピンクから薄青に変化し、天井圏での売り転換を指示しています。

  • 株価底値圏での買い

    上図チャートの2003年では、新日鉄株が120円以下の歴史的安値から反騰に転じた時期にチャートの背景色が薄青からピンクに変化し、底値圏での買い転換を指示しています。

    また、売買結果としては結局利益が出ませんでしたが、1992年と1999年にも底値圏での買い転換を指示しています。
今回は、新日鉄株を例として月足データを利用した長期テクニカル分析の方法を説明しました。上図のチャートをご覧になれば、私どもの長期投資方式が新日鉄株の長期の値動きを大きくとらえており、安定した成果を挙げているのがお分かりになると思います。

しかし、月足ベースのテクニカル分析ではやや精度が粗く、売買反転の検出に遅れが発生する場合もあります。そこで、今後は今回説明したテクニカル分析を週足ベースで多数銘柄について行い、それらを合計した投資利益率を算出してこのウェブで報告する予定です。

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