これまで説明してきた移動平均線を2本使う方式で、長期間投資を繰り返したらどのような成績が得られるでしょうか。安全性の高い長期投資をめざす私どもとしては、これがもっとも確認したいところです。
今回、私どもがもっている株式データベースを利用して、次の条件でシミュレーションを行いました。
- 銘柄
新日鉄 1000株
- 期間
1997年6月〜2,006年7月の9年あまり
- 投資方法
75日移動平均線と150日移動平均線を利用し、まずゴールデンクロス検出で買いを行う。
その後デッドクロス検出で売りを行い、同時に信用売りを行う。
その後にまたゴールデンクロスを検出したら、信用売りを買い返済する。
以降、この売買を繰り返し、各取引の売買差益を累積する。
- 売買手数料など
今回のシミュレーションでは、手数料および関係する雑費はとりあえず考慮にいれない。
この期間の新日鉄株のチャートを下に示します。
この期間では、新日鉄株は400円がらみからスタートしたのち大きく下落し、一時は119円の歴史的安値をつけました。その後は急激に反発し、最近では400円を少し超える位置でもみ合っています。
したがって、この9年あまりの期間新日鉄株をただ持続していたら、ほとんど利益がでなかったことになります。
もう高度成長期のように株価が右上がりで長期にわたって値上がりするというのはあまり期待できないので、やはり下落相場では信用売りで値下がり益を得るべきでしょう。
上記の条件で9年間にわたるシミュレーションを行った結果は、次のようになりました。
この9年あまりの間にのべ18組36回の売買を行いました。各売買の結果得られた売買差益が上表の右端の列に記載されていますが、18組の売買のうち利益がでたのは7組だけで、残り11組では若干の損失が発生したのがみられます。
上掲の株価チャートに見られるように底ばいの時期が長かったので、高値で買っては安値で売る、あるいは安値で売っては高値で買い返済するという売買がたくさんあったのです。
その結果、9年間の売買で一株あたり28円の損失が発生しました。1000株では9年間で2万8000円の損失となります。
日本市場を代表する銘柄の一つである新日鉄株を9年間にわたって売買してこの成績に終わったとあれば、移動平均線のゴールデンクロス、デッドクロスを利用する方式の有用性には首を傾げざるを得ません。
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