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2004年8月限の相場

 前のページで、バーティカルスプレッドは、簡単な方式で大暴落の際にはオプション売り(この場合はプット売り)の損失を大幅に低減できる機能がありますが、そのヘッジ効果が発揮できない場合も多いことを解説しました。

バーティカルスプレッドでは、同じ限月で権利行使価格の異なるオプションを組み合わせてヘッジを行いますが、限月の異なるオプションを組み合わせるヘッジ方式もあります。そのタイプのヘッジ方式を、カレンダースプレッドあるいはホリゾンタルスプレッドと呼びます。
このページでは、まずカレンダースプレッドの原理を説明し、次に前のページと同じく2004年8月限の相場に対してこの方式を適用してみましょう。

下図に見られるように、日経平均株価は8月初めの時点では7月からの相場下落基調からやや戻り気味となっていて、11000円の少し上に位置していました。私どもの方式ではここはコール売りを継続するのですが、ここではヘッジの研究のために、8月初めにヘッジ付きプット売りを仕掛けた場合を考えましょう。

カレンダースプレッドの原理

 ある限月のSQに近づくと、アウトオブマネーのオプションの価格は普通急激に下落し始めます。それは、SQまで残された短い期間で日経平均株価がそのオプションの権利行使価格を超える確率が小さくなるためです。

一方、それより満期が1ヵ月先のオプションでは、まだ満期まで十分時間があるために日経平均株価がそのオプションの権利行使価格を超える確率はなおかなりあります。 従って、期先のオプションでは、当限のSQが近づいても価格の低下は比較的ゆるやかとなります。

このようなオプション価格の時間的推移を利用して、ある限月のSQの近くで利ざやを稼げる可能性があります。
たとえば、上記の8月限の場合には、8月限のプットを売ると同時に9月限のプットを買い建てします。もし、8月限SQ価格がプット売りの権利行使価格より高ければ、8月限プットはゼロ円で自動決済されます。
一方、9月限のプットはかなり減価しますが残るので、それを買い返済すれば、8月限のカレンダースプレッドは終了します。

この方式では、前のページで解説したバーティカルスプレッドと同じくプット売りとプット買いが同時に行われているため、日経平均株価が大きく下落してもプット売りによる損失がかなりの程度までカバーされます。

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カレンダースプレッドの仕掛け

 7月の日経平均株価は、11326円で引けました。そこで、8月の初日8月2日の朝寄付きで、8月限プット11000円を売りますが、その後日経平均株価相場が予想に反して下落した場合に備え、9月限プットを同時に買い建てします。
9月限プットのどの権利行使価格のものを買うかについては、後で詳しく解説しますが、ここでは9月限プット10500円を買うことにします。  
  • 8月限プット11000円 売り  75円     
  • 9月限プット10500円 買い  70円  
8月限のSQは12日でしたので、この日から10日後に迫っていました。従って、8月限のSQまでにあと326円は下落しないであろうと考えて、上記のようにプット売りを行った投資家も多いと思われます。

カレンダースプレッドの結果

 ところが、その後、日経平均株価は急落し、まもなくプット売りの権利行使価格11000円を割ってしまいました。その後も日経平均株価は下落し、8月限のSQ価格は10856円となりました。
従って、8月限プット11000円は144円で自動決済されたので、このプット11000円の売りにより

    75円−144円 = −69円

の損失が発生しました(手数料、税金を考慮しない場合)。プット売り一枚あたり7万円近い損となります。

一方、カレンダースプレッドのために買っておいた9月限プット10500円は、どうなったでしょうか。8月限SQの8月13日朝に、9月限プット10500円は145円で寄付きました。9月限プットは満期までなお1ヵ月もあるので、8月限SQ価格に追随して期待通り値上がりしてくれたのです。

この8月13日朝寄付きで、9月限プット10500円を売り返済すれば、今回のカレンダースプレッドの取引は終了です。その取引結果は、次のとおりになります。

    (75円−70円)−(144円−145円) = 6円

もしヘッジなしでプット売りを行ったら大幅な損失が発生するところだったのが、カレンダースプレッドのおかげで少ないながら若干の利益を挙げられることになりました(手数料、税金を考慮しない場合)。

ヘッジコストの検討 (1)

 このように、カレンダースプレッドはオプションのSQが近い時期でもヘッジが有効に機能するという特色があります。これは、オプション取引の実戦では大変有難い機能で、大いに研究して利用するべき投資技術といえましょう。

しかし、このカレンダースプレッドを行うのには、ヘッジコストがかかります。それがあまりに大きいと、毎月のオプション売りによる利益がほとんどヘッジコストで食われてしまう恐れがあります。

ここでは、上記チャートで7月限SQ7月9日の朝寄付きで8月限プット10500円を売り、同時に9月限プット10000円を買い建てした場合を考えましょう。  
  • 8月限プット10500円 売り  60円     
  • 9月限プット10000円 買い  60円  
8月限SQは10856円だったので、その8月限SQの時点で8月限プット10500円はゼロ円で自動決済されました。一方、8月限SQの8月13日朝に、9月限プット10000円は45円で寄付きました。従って、8月限のカレンダースプレッドは

    (60円−60円)−(0円−45円) = 45円

と、45円の利益となりました(手数料、税金を考慮しない場合)。8月限プット売りだけの利益が60円ですから、この場合のヘッジコストは15円で済んだということになります(手数料、税金を考慮しない場合)。

ヘッジコストの検討 (2)

 上記は日経平均株価が下落した場合ですが、逆に日経平均株価が上昇した場合はどうでしょうか。
この場合には、売ったプットの価格が低下しヘッジの必要性が少なくなりますが、同時に買ったプットも価格が低下します。買ったプットの価格が低下すると、カレンダースプレッド全体の利益が低下するので、買ったプットはどこかの段階で売り返済して手じまうほうがよいでしょう。
たとえば、買ったプットの価格が半値まで下落したら手じまうというようにルールを決めておいて、機械的に売り返済してください。

このように買ったプットの価格が低下するのでその面から若干の損失が出ますが、一方売ったプットの価格低下が大きいので、カレンダースプレッド全体としては利益が出ることになります。

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