平均株価研究会 暴落時のヘッジ付きオプション売り(1) メニューへ

2000年4月の暴落時

 これまでに、2000年4月17日に発生した大暴落を例にとって、その前後でプット価格がどのように変動するかを解説してきました。そのデータを基に、一般投資家が行うことができるヘッジの方法を研究しましょう。
再び、その2000年4月前後の株価チャートを下に示します。

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 4月初めには、20500円がらみの高値で持ち合っていた日経平均株価は、この暴落後一週間ほどで18000円近くまで下落しました。
先に解説したように、私どもの「ヘッジ付短期オプション売り」方式では、この暴落に先立ってオプション売りのポジションをコール売りに転換しています。従って、この暴落でかなりの利益が挙げられたのですが、ここではヘッジの研究の材料として利用ために、プット売りのポジションで暴落を迎えた場合を考えましょう。

バーティカルスプレッド

 オプション売りのリスクヘッジの一般論は、先に別ページで詳しく解説しました。ここでは、プット売りのポジションで暴落を迎えた場合の損失をできるだけ軽減するための方法に絞って、実際的な方法を研究しましょう。
もっとも簡単なリスクヘッジは、これまで折りにふれて運用の実際を解説してきた「バーティカルスプレッド」です。
  • バーティカルスプレッド
     一般的に、権利行使価格が異なるオプションを組み合わせてオプション売買益のリスクヘッジを行う方式を「バーティカルスプレッド」と称します。
    オプションの売りを利用して投資を行う場合には、アットザマネーに近い(すなわち現時点の日経平均株価に近い権利行使価格の)オプションを売り、同時にそれより500円外側(権利行使価格から離れる方向)のオプションを買うことになります。
    プットでこの方式を利用する場合は、「ブルプットスプレッド」と呼ばれます。

  • ブルプットスプレッド
     例えば日経平均株価が現在10700円で今後さらに上昇しそうだったとし、アットザマネーに近いプット10500円を売ったとしましょう。この場合は、日経平均株価が逆に反落する局面に備えて、それより行使価格が500円アウト側(価格が低い)のプット10000円を同時に買います。

  • プット売りの損失限定
     ヘッジなしの場合はプット10500円の売りだけですから、もしその後日経平均株価がたとえば1000円も急落すれば大きな損失が発生します。しかし、上記のように同時にプット10000円を買っておけば、そのプットの値上がりにより、プット11000円の売りの損失のかなりの部分が埋められます。
    詳しくは専門書を読んでいただきたいのですが、この方式ではその後日経平均株価がいかに下落しても、全体としての損失は500円を超えることはありません。
暴落時のプット価格

 ここで、先に解説した暴落前後のプット価格の表を、改めて下に示します。
暴落は、4月17日(月)の朝から始まりました。その一日前の取引日4月14日(金)は、4月限のSQでした。
そこで、このSQの朝に5月限プットを売ったら、その翌取引日の暴落以降で5月限プットの価格がどうなったかを、5月限プットの権利行使価格別に記載してあります。
5月限プット
権利行使価格
14日朝
プット売値
暴落の日
プット引値
暴落の翌朝
プット寄付値
5月限プット
値上がり倍率
18,000 15 330 190 12.7
18,500 20 500 290 14.5
19,000 55 750 465 8.5
19,500 115 1100 700 6.1


ブルプットスプレッドの効果

 ここでは、上表で4月限SQの朝に5月限プットを売ったら、その翌取引日の暴落以降で5月限のブルプットスプレッドがどのような結果になったかを調べましょう。 
  • プットの権利行使価格

     ここでは、その時点の日経平均株価より権利行使価格が1000円近く低い19500円のプットを売り、それよりさらに権利行使価格が500円低い19000円のプットを買った場合を考えます。  
          
    • プット19500円 売り 115円     
    • プット19000円 買い  55円  
     
  • プット価格の暴騰

     その次の一日だけで日経平均株価が1500円以上下落した結果、各権利行使価格のプットは暴騰しました。たとえば、前日の日経平均株価引値より1000円近く低い権利行使価格のプット19500円は、前日の朝寄付値が115円だったのが、暴落の日の引値はなんと1100円となりました。
    暴落の翌日朝寄付はやや戻って700円となりましたが、この時点でプット19500円売りの買い返済を行うと、プット売り1枚あたり58.5万円の大きな損失が発生します。

    この時点での5月限19500円プットの値上がり倍率は、6.1倍にもなりました。

  • ブルプットスプレッド

     それでは、もっとも簡単なヘッジ方式であるブルプットスプレッドを行い、5月限プット19500円を一枚売ると同時に5月限プット19000円を一枚買っておいた場合はどうなったのでしょうか。やはり、暴落の翌日朝寄付でブルプットスプレッドを反対売買で決済した場合を調べましょう。  
          
    • プット19500円 買い返済 700円     
    • プット19000円 売り返済 465円  

    となり、ヘッジ用のプット19000円も大きく値上がりしているのがわかります。結局、5月限ブルプットスプレッドで

        (115−55)−(700−465)=−175円
     
    の損失が発生しました。

  • ブルプットスプレッドのヘッジ効果

     以上から、ヘッジなしの場合の58.5万円の損失がブルプットスプレッドにより17.5万円に圧縮されたのがわかります。
    オプション売りの場合には、「暴落なんてめったに来ないから」と無視するわけにはいきません。場合によっては、暴落で財産の過半を失う恐れもあるのです。最低限のヘッジを併用することで、毎年安定した収益をあげるようにしましょう。ここでも、「継続こそは力なり」です。

    ヘッジにより収益が安定化する代わりに、ヘッジコストで毎月のオプション売り収益が4割前後減少することになります。たしかにこのコストは大きいですが、もともとオプション売りは株式に比較して利益率が大きい場合が多いのです。その利益率が少々目減りしても、収益安定化を目指すほうが長期的には得策であろうと思います。
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