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2000年4月の暴落時

 これまで解説してきたように、日経平均株価の暴落時にはプット価格が暴騰するので、もしその暴落前にプット売りを仕掛けていたら、巨額の損失をこうむることになります。これは、オプション投資においてもっとも大きなリスクといえましょう。
オプション投資で安定した収益をめざすには、このリスクに対してなんらかのヘッジを施す必要があります。
ここでは、2000年4月17日に発生した大暴落を例にとって、一般投資家が行うことができるヘッジの方法を研究しましょう。
まず、その2000年4月前後の株価チャートを下に示します。

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 4月初めには、20500円がらみの高値で持ち合っていた日経平均株価は、この暴落後一週間ほどで18000円近くまで下落しました。
先に解説したように、私どもの「ヘッジ付短期オプション売り」方式では、この暴落に先立ってオプション売りのポジションをコール売りに転換しています。従って、この暴落でかなりの利益が挙げられたのですが、ここではリスクの大きさを見積もるために、プット売りのポジションで暴落を迎えた場合を考えましょう。

暴落時のプット価格

 暴落は、4月17日(月)の朝から始まりました。その一日前の取引日4月14日(金)は、4月限のSQでした。
そこで、このSQの朝に5月限プットを売ったら、その翌取引日の暴落以降で5月限プットの価格がどうなったかを、5月限プットの権利行使価格別に調べましょう。
 
5月限プット
権利行使価格
14日朝
プット売値
暴落の日
プット引値
暴落の翌朝
プット寄付値
5月限プット
値上がり倍率
18,000 15 330 190 12.7
18,500 20 500 290 14.5
19,000 55 750 465 8.5
19,500 115 1100 700 6.1

 上表で、「値上がり倍率」とは、暴落前にプットを売ったときの価格で暴落の翌日朝寄付きのプット価格を割ったものです。暴落によって初めて相場の基調が変ったと判断し、その翌日プット売りを買い返済するときは、この倍率分だけ損失が発生することになります。

この表から、暴落時のオプション売りのさまざまな特性がわかります。  
  • 暴落時のオプション売りの損失

     その一日だけで日経平均株価が1500円以上下落した結果、各権利行使価格のプットは暴騰しました。たとえば、前日の日経平均株価引値より1000円近く低い権利行使価格のプット19500円は、前日の朝寄付値が115円だったのが、暴落の日の引値はなんと1100円となりました。
    暴落の翌日朝寄付はやや戻って700円となりましたが、この時点でプット売りの買い返済を行うと、プット売り1枚あたり58.5万円の大きな損失が発生します。

    この時点での5月限プット値上がり倍率は、6.1倍にもなりました。

  • プットの値上がり幅

     14日朝寄付きでのプット価格と暴落の日のプット引値を比べると、それらの差(プットの値上がり幅)は、権利行使価格が高いほど(すなわちアットザマネーに近いほど)大きくなっています。これは、暴落前のプット価格が高いほど、プットの値上がり幅も大きいということで、当然といえましょう。

    従って、オプション売り一枚あたりのありうる損失を小さくしたいと思ったら、なるべく権利行使価格が日経平均株価の時価より低いものを選択するのがよいのです。

  • プットの値上がり倍率

     しかし、暴落前後のプットの値上がり倍率となると、様子が違います。
    上表で、権利行使価格19500円のプットでは値上がり倍率は6.1でしたが、それより権利行使価格が1000円も低い18500円のプットでは値上がり倍率は14.5にも達しています。

    すなわち、アウトオブマネーのプットは、出発点の価格が低いだけに暴落時における値上がり倍率はアットザマネーのプットより大きいのです。
    これについては、理論的な裏づけもあるのですが、詳しくはオプションの専門書をご覧ください。
損失を少なくするには

 上記の検討から、オプション売り投資で暴落時にこうむる恐れのある損失を少なくするために、重要な知見が得られました。  
  • 同じ枚数のオプション売りを行う場合には、アウトオブマネーの権利行使価格を選択するほうが、リスクは小さい(ただし、オプションの値下がり益も小さくなる)

  • 同じ資金量のオプション売りを行う場合には、アウトオブマネーの権利行使価格を選択すると、暴落時のリスクは大きくなることがある(暴落ではなく、日経平均株価の下落率が小さいときは、リスクは小さい)
通常時のリスクが小さいからということで、プレミアム(価格)の低いアウトオブマネーのプットオプションを大量に売り建てると、暴落時に巨額の損失をこうむる恐れがあります。仮に、権利行使価格が日経平均株価時価より1000円も低いとしても、暴落時にはそれくらいは簡単に突破されてしまうのです。

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