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長期売買と短期売買

 先に、このウェブの研究成果を個別銘柄に適用した場合もかなりの好成績が得られることを説明しました。
その投資方法は、数ヶ月単位の大きな相場のうねりを検出し、上げ基調と見れば買いを行い、下げ基調と判断されれば売りを行うというもので、いわゆる中期投資というカテゴリに属するといえましょう。

相場の動向によっては、このような中期投資だけではなく、たとえば1ヶ月以内で売買の1サイクルを終結させるいわゆる短期投資をしたくなるときもあります。個人投資家は、このように個別銘柄を短期で売買している方が多いようで、このウェブの研究は短期投資を扱わないのかという問い合わせ、お勧めのメールをときどき頂いてきました。
そこで今回、私どもが開発した相場分析手法が個別銘柄の短期値動きの分析に適用できるかどうかを改めて調べることにしました。

短期売買の方法

 1ヶ月ぐらいの間に売買を行ってある程度の利益をあげるのは、相場という生き物相手のことですから、かなり難しい話です。特に個別銘柄では相場に不規則な動きが多いので、時には短期に利益をあげるつもりが逆に短期間に大きな損失を受けることもあります。
短期売買の方法としては、次の2種類が考えられます。
  • 相場が中期的に上昇基調と思われ、かつ短期的にも上昇基調と思われる時期に、小さい押し目をねらって買いを行う。
    あるいはこの逆に、相場が中期的に下落基調と思われ、かつ短期的にも下落基調と思われる時期に、小さい戻りをねらって売りを行う。

  • 相場が中期的に上昇基調と思われ、かつ短期的にも人気化して急上昇の気配が見えたときに、それに乗って買いを行う。
    あるいはこの逆に、相場が中期的に下落基調と思われ、かつ短期的にも急落する気配が見えたときに、それに乗って売りを行う。

  • 相場が中期的に上昇基調と思われるが短期的には急落した局面で、買いを行う。
    あるいはこの逆に、相場が中期的に下落基調と思われるが短期的には急騰した局面で、売りを行う。
ここでは、上記のうち最後の深い山谷を検出して短期売買を行う方法を研究します。

短期売買のタイミング

 先に私どもは、オプションの買いについて研究しましたが、その場合は日経平均株価の中期上昇基調での深い押し目でコールの買いを行い、逆に日経平均株価の中期下落基調での高い戻りでプットの買いを行いました。
それらオプションの買いを行うには、「短期HL分析線」と呼ぶ日経平均株価の短期の相場動向を分析するための指数を開発し、使用しました。

今回は、上記「短期HL分析線」を個別株に拡張して適用し、それが発する信号に応じて個別株の株価の深い谷、高いピークを分析します。
これとは別に、個別株の相場が中勢的に上昇基調か下落基調かの判別が必要ですが、これはもちろんこれまでの個別株の中期トレンド分析に利用してきた方法で行います。株価チャートの画面で、背景色がピンクなら中勢的に上昇基調、背景色が薄青なら中勢的に下落基調と判断します。

新日鉄株の分析チャート

 私が持っている新日鉄株の株価データを利用して、まず最近7ヶ月強分の新日鉄株の短期売買分析を行いました。
チャートの上部にある「始値」はチャートに表示されている左端のデータの始値、「終値」は当日の終値を意味します。また「高値」、「安値」は、それぞれその7ヶ月強の期間内のザラ場の高値、安値を示します。

新日鉄0403

短期HL分析線の使い方

  上記チャートの下半分は、本研究で主として用いる「短期HL分析線」およびその16日移動平均線のチャートです。短期HL分析線の使い方を、簡単に説明します。
  • 底値圏、ピーク圏での値
     中期上昇基調(背景色がピンク)では−350ポイント以下の領域が底値圏となる。
     中期下落基調(背景色が薄青)では350ポイント以上の領域がピーク圏となる。

  • V字の形成
     中期上昇基調(背景色がピンク)の底値圏では150ポイント以下の小変動は無視する。短期HL分析線の値が最小値から150ポイント以上上昇したとき、V字が形成されたと判断し、その翌日の朝寄り付きで買いを行う。
    短期HL分析線の値が−350から−400の間では、短期分析線の移動平均値が−100以下の場合のみV字形成の検討対象とする。
    中期上昇基調(背景色がピンク)の領域で短期HL分析線の値が−500ポイント以下となれば、V字形成を待たずにその翌日の朝寄り付きで買いを行う。

  • 逆V字の形成
     中期下落基調(背景色が薄青)のピーク圏では150ポイント以下の小変動は無視する。短期HL分析線の値が最大値から150ポイント以上下落したとき、逆V字が形成されたと判断し、その翌日の朝寄り付きで売りを行う。
    短期HL分析線の値が350から400の間では、短期分析線の移動平均値が100以上の場合のみ逆V字形成の検討対象とする。
    中期下落基調(背景色が薄青)の領域で短期HL分析線の値が500ポイント以上となれば、逆V字形成を待たずにその翌日の朝寄り付きで売りを行う。

  • 買いの終結
     買いを行った後短期HL分析線の短期移動平均線がその中期移動平均線を上から割り込んだとき、買い領域が終了したと判断し、その翌日の朝寄り付きで売りを行う。

  • 売りの終結
     売りを行った後短期HL分析線の短期移動平均線がその中期移動平均線を下から上に抜けたとき、売り領域が終了したと判断し、その翌日の朝寄り付きで買戻しを行う。

新日鉄株の分析結果

 上記最近7ヶ月強分の新日鉄株の分析チャートについて、上記の手法の適用の仕方を説明します。

2003年10月1日の新日鉄買い

  • 新日鉄株相場の分析
     上記新日鉄のチャートでは背景色が全面にわたってピンクとなっており、私どものトレンド分析プログラムは新日鉄株相場は中勢的に上昇基調と判断していました。しかしその上昇基調の中で新日鉄株相場は9月はじめから下落してきました。

  • V字の形成
     2003年9月25日の引けでの短期HL分析線の値は−372.6で、その3日後の9月30日の引けでの短期HL分析線の値は−221.7でした。またその時点の移動平均値も−100ポイント以下となっていました。V字を形成しましたので、その翌日10月1日の朝寄り付きで新日鉄買いを行います。

  • 新日鉄株の買付け
     10月1日の朝寄り付きで、新日鉄株を200円で買いました。

  • その後の相場の推移
     その後、新日鉄株は期待通りに値上がりしました。1997年10月29日の引けで、短期移動平均線が上から中期移動平均線を割り込みましたので、ここで新日鉄株の買いを終了させます。

  • 新日鉄買いの売り決済
     そこで、その翌日10月30日の朝寄り付きで、新日鉄株を売り決済しました。売値は229円でした。従って、この新日鉄買いは
         229−200=29円
    の売買差益(手数料、税金は考慮しない)となりました。

2003年11月25日の新日鉄買い

  • 新日鉄株相場の分析
     上記新日鉄のチャートでは背景色が全面にわたってピンクとなっており、私どものトレンド分析プログラムは新日鉄株相場は中勢的に上昇基調と判断していました。しかしその上昇基調の中で新日鉄株相場は11月はじめから下落してきました。

  • V字の形成
     2003年11月17日の引けでの短期HL分析線の値は−435.7で、その4日後の11月21日の引けでの短期HL分析線の値は−200.0でした。V字を形成しましたので、その翌日11月25日の朝寄り付きで新日鉄買いを行います。

  • 新日鉄株の買付け
     11月25日の朝寄り付きで、新日鉄株を215円で買いました。

  • その後の相場の推移
     その後新日鉄株は期待したように値上がりしないうちに、12月18日の引けで短期移動平均線が上から中期移動平均線を割り込みました。ここで新日鉄株の買いを終了させます。

  • 新日鉄買いの売り決済
     その翌日12月19日の朝寄り付きで、新日鉄株を売り決済しました。売値は211円でした。従って、この新日鉄買いは
         211−215=−4円
    の売買差損(手数料、税金は考慮しない)となりました。

相場分析の長期統計

 上記新日鉄のチャートでは、7ヶ月あまりの間2回の短期売買を行い、一方は成功しましたが他方では失敗して若干の損失を受けました。この個別株短期売買手法を、今後、6年前からの新日鉄株データに適用して見ましょう。その結果を毎週このウェブにアップして行きます。

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