株式投資を航海にたとえれば、株価・出来高などのチャートは海図にあたります。株式投資で安定した成績を得るには、平均株価のチャート分析は、景気動向の調査分析などファンダメンタル分析と並んで必要欠くべからざるものです。
しかし、一般の投資家は、平均株価のチャートは単に現在の株価を見るために利用している向きが大多数ではないかと思います。チャートに示される株式データを利用して平均株価の将来の値動きを推定する投資家は、非常に少ないようです。
このページでは、たとえば10年単位の株式チャートを調べ、それから現在の平均株価が長期的にはどの位置にあるのかを探る方法を説明します。皆様がご覧になる株価チャートは日足あるいは週足のチャートが普通ですが、ここでは長期の株価変動を調べるために月足のチャートを利用します。
下図のチャートは、1987年から2009年まで23年にわたる平均株価の変動を月足で示したものです。株価チャートの下に、東証一部の月次売買出来高を棒チャートで示しています。 |

一般の投資家は、このような長期の株式チャートはご覧になったことが少ないと思います。あるいは、見たことがあっても、このような長期のチャートは自分の株式投資にとって役に立たないと考えたかも知れません。
そこで、上図の日経平均株価月足チャートの各部分について、株価の動向と出来高、移動平均線などチャートの技術的要素との関係をやや詳しく解説して行きましょう。 |
まず上記チャートでは、チャートの左端、日本のバブル期最後の1989年に日経平均株価が40000円に迫るピークをつけたのが見られます。この23年間では日経平均株価の平均値はほぼ19000円ですが、上記のピークの時期には23年間の平均値の2倍ほどの高値をつけているのです。
1989年のピーク期で、日経平均株価がピークに向かって上昇しつつある3、4年の間は、他の時期に見られないほどの莫大な出来高が記録されています。その後日経平均株価がピークを過ぎると出来高が急激に減少し、大多数の投資家が高値で買った株を擁したまま取り残された様子がはっきりと見て取れます。
その後はバブル景気の崩落とともに、日経平均株価はまったくよいところがなくなりました。ときどき反発はするもののすぐ頭打ちになってまた下落基調に戻るという状態が約14年間続きました。 この間の出来高はバブル期のピーク時に比較して数分の一に落ち込み、ちょっとした売物が出ても株価が大きく下落するような相場商状でした。 |
1999年から2000年初めにかけて、アメリカのIT株ブームが日本にも波及し、1年半近くにも及ぶ反騰相場となりました。しかしこれは長続きせず、2000年4月の大暴落以降、日経平均株価は長期にわたり急落しました。
上図月足チャートでこの時期を見ると、日経平均株価が急落しているにもかかわらず、東証一部の出来高は1999年以前よりはるかに高いレベルにあるのがわかります。これには次の2つの理由が考えられます。
まず、この時期の株価はバブル期の最高値の1/5にまで下落しており、しかも十数年来の安値圏にありました。そのため、機関投資家などが長期投資の見地から買い出動したと思われます。
もう一つの理由は、このころから日本でもインターネット経由の短期投資が盛んに行われるようになったことです。証券会社の手数料が安くなったこともあり日計りで頻繁に売買を繰り返す投資家が増えたので、東証など取引所での出来高も大きく増加することになったのです。 |
2003年はじめには、日経平均株価は7500円がらみの歴史的安値をつけましたが、その後はアメリカやアジア諸国向けの輸出がきっかけになって日経平均株価は反騰に向かいました。
2003年半ばから2004年にかけての一年間で、東証一部の出来高はそれ以前の年間平均出来高の3倍ほどにも達し、日経平均株価も底値から30パーセント以上も上昇して3年来以上の高値をつけてきました。これが2007年までに至る大相場の入口になったのです。 |
2008年に入って日経平均株価は買い疲れ感から持ち合っていましたが、そこにアメリカ発の金融危機が起こりました。日経平均株価は18000円台から一挙に暴落し、2008年末から2009年にかけては7000円がらみの安値をつけました。
上記月足チャートを見ると、2007年半ばの高値をつけるまでに20年来の大出来高を記録した後、日経平均株価が大暴落したことで、上場銘柄の時価総額がほぼ半減した様子がうかがわれます。
これほどのダメージを受けた日経平均株価相場がまた立ち直るには、やはり早くても今後数年は要すると考えるべきでしょう。 |