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  リアカーと赤ちゃん


リアカーと赤ちゃん

 私は長年日本経済新聞の「私の履歴書」という連載記事を読んでいます。2007年8月現在は、俳人の森澄雄さんがこの欄に執筆していますが、その中で奥さんのお産の話が書かれていました。

当時、森さんは重い病気で入院していたようです。奥さんは一人きりで産気づいて非常に心細かったことでしょうが、それにめげずリアカーに布団を積んで近所の産婦人科に入院しました。そのころは、入院の際は自分の布団を持っていくことが多かったのです。

その病院で、奥さんは無事に第一子である長男を出産しました。産後は順調だったので、入院から一週間後に奥さんは産婦人科を退院しました。そして入院の際と同じようにまた一人でリアカーに布団を載せ、今度はその中に生まれたての赤ちゃんを静かに寝かせて自宅に牽いて帰っていきました。

私は、この森さんの記事を見て、健康な女性の底力に感銘を受けました。奥さんが、赤ちゃんを乗せたリアカーをゆっくりとそして誇らしげに牽いて自宅に向かう様子が目に浮かぶようです。

     生みし子を
         リアカーに乗せ
             家路涼し





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