湯河原は古くからの湯治場でしたが、東海道線の開通により、交通至便な温泉地としてさらに人気が高まりました。
「東京の奥座敷」といわれた風光を愛して、夏目漱石をはじめ多数の作家・文人がこの地を訪れました。耽美派の作家谷崎潤一郎は、最晩年にこの湯河原の地に住みましたが、その住居湘碧山房が現在でも残っています。
谷崎邸の女中さんたちを描いた小説『台所太平記』は大評判となり、のちに映画にもなりました。この映画のほうも大ヒットとなったので、ご覧になった方も多いと思います。
小説のモデルとなった女中さんは、その後タクシー運転手と結婚し湯河原で土産物屋を開きましたが、その開店祝いに谷崎さんは次の短歌を贈りました。
湯河原の春吟堂に客絶えず
桜咲く日も
みかん実る日も 谷崎潤一郎
写真は、湯河原で見かけた夏みかんと思われるみかんの山とその前に咲き始めた早咲きの河津桜です。みかんと桜が同時に見られるのが、湯河原らしいところです。 |